こんな手口があったのか?ETC不正通行、1年間に250回も

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高速道路を利用し目的地まで短い時間で辿り着く、その対価として利用者は道路会社に料金を支払わなければなりません。なぜなら有料道路事業は、利用者から公平に通行料金を負担してもうらうことにより事業が成り立っているからです。ゆえに通行料金を不法に免れる不正通行は、絶対に許されるものではありません。

目次

不正通行1年間で250回

『2018年5月、福岡県の運送会社が1年間で250回もETCカードを不正利用』という事件が発覚しました。同社は2015年4月~16年5月に九州道などで不正通行を248回繰り返し、通行料金約229万円の支払いを免れていました。会社ぐるみで1年余にわたり不正を続けた今回のような悪質な事例が発覚するのは非常に珍しいケースです。248回も不正通行した手口とは一体どのようなものだったのでしょうか?

高速道路のSA・PAでETCカードを交換

画像引用:毎日新聞

不正の手口はこう。高速道路の上り線と下り線を走る2台のトラックの運転手がお互いの目的地の中間地点のサービスエリア(SA)などで合流し、それぞれのETCカードを交換。

AトラックはC地点まで向かいますが、ETCカードは中間地点で入れ替えられるので、B地点までしか走行していないことになります。こうすることでA地点からB地点までの通行料金で済んだのです。

道路会社の関係者によると「高速道路の上りと下りのSA・PAが近ければ、従業員専用通路を通って徒歩で合流するとは可能、とのこと。

不正通行の背景と運送会社の厳しい経営実態

事件の背景には運送会社の厳しい経営実態が浮き彫りになりました。

今回不正通行が発覚した福岡県の運送会社は「経営環境の悪化が理由」と釈明。「燃料代が上がる一方で荷主に経費上乗せに応じてもらえなかった」とのこと。

ガソリン燃料費は年々高騰,さらに荷物を運ぶ肝心のトラックドライバーは業界全体で慢性的な人手不足が続いており人件費も高騰を続けています。これらの高騰分は運賃に上乗せ請求しなければ当然運送業者は採算が取れません。しかし多くの運送会社が事業者が荷主に対して、運賃交渉すらできていないのです。

4割強の事業者「運賃交渉したいができない」

東京都トラック運送事業協同組合連合会(東ト協連)が実施したアンケートによると、4割強の事業者が運賃交渉をしておらず、荷主と運賃について『交渉した」と回答したのは69事業者(42・1%)で、前回の68事業者(38・9%)に比べて3・2ポイント増加。

『交渉した』『今後交渉する』を合わせると94事業者(57・3%)と6割近いが、4割強の事業者が交渉したいができてない。

不正通行は必ずバレる

今回のケースでは、利用履歴上はICを通過して退出するまでの時間が、A地点からB地点までと短いわりに時間がかかっており、これも何度も繰り返したので不正通行が発覚しました。

道路会社各社は不正通行に目を光らせています。インターチェンジ(IC)の出入り口にナンバープレート読み取りカメラを設置しているので、不審なケースを見つけると、カメラでICを通過した時と退出した時のナンバーの違いを確認することが可能。また実際に不審車両を追跡して、違反者に不正通行を認めさせるケースもあるそうです。

どのような行為が「不正通行」にあたるか?

通行料金の全部または一部の支払いを免れる目的として次の通行を行った場合は、不正通行となります。
  1. ETC車線で、路側表示器が「STOP停車」を表示し、開閉バーが閉じているにもかかわらず、故意に開閉バーを押し破って通行した場合
  2. 一般車線で通行料金を支払わずに、通行した場合
  3. 通行料金の安い車両でセットアップされた車載器を、通行料金の高い車両に載せ替え、本来の通行料金を免れて通行した場合
  4. 不払宣言書を係員に差し出し、規定の料金を支払わずに通行した場合
  5. 通行区間を偽って、本来の通行料金を免れて通行した場合

不正通行で逮捕もありえる

今回のケースでは不正に浮かせた額の3倍の約687万円を支払う羽目になりましましたが、料金をいつまでも支払わないなど悪質な場合は、道路整備特別措置法違反容疑詐欺容疑などで逮捕されることもあります。

  • 2018年3月19日、静岡県警察は、通行区間を偽り正規の通行料金を免れる目的で料金所係員に虚偽の入口を申告し、正規の通行料金より安い通行料金で通行した者を詐欺容疑で逮捕
  • 2018年2月16日、新東名高速道路 新城料金所のETCレーンを強行突破し、道路整備特別措置法違反容疑で愛知県警察により2018年3月5日に送致
  • 2016年2月3日、富山県警は、昨年12月18日に北陸自動車道富山西料金所の料金精算機で、偽造クレジットカード所有者を不正作出支払用カード電磁的記録供用、電子計算機使用詐欺未遂の容疑により逮捕

不正通行の罰則は重い

NEXCO中日本のHPを参照にすると、高速道路の不正通行の罰則を以下のように定めています。

  • 通行料金の全部または一部の支払いを不法に免れる不正通行があった場合には、監視カメラの画像などから不正通行者を特定し、免れた通行料金と割増金(免れた通行料金の2倍に相当する額を請求します。
  • 繰り返し行うなど悪質性の高いものは、警察に通報いたします。通行方法に違反した運転者には、道路整備特別措置法第59条の規定により、30万円以下の罰金が科せられます。

まとめ

今回はETCの不正通行について解説してきました。

福岡県の運送会社のケースは明らかに故意で悪質な行為ですが、故意でなくともETCレーンのバーが降りたまま通過してしまうような事例は少なくはありません。高速道路を利用する前には以下の点に注意しておきましょう。

  1. ETCカードの有効期限が切れていないか?
  2. ETCカードが車載器に確実に挿入されているか?
  3. ETCカードが車載器に正常に認識されているか?

万が一、ETCレーンで、電光掲示板に「STOP停車」と表示されていて、開閉バーが閉じているにもかかわらず、開閉バーをそのまま通行されてしまった場合は、すぐに道路会社事務局に電話をしましょう。故意なく通過してしまっただけで罰金や逮捕されることはありませんので安心して下さい。

 

各道路会社の連絡先

NEXCO東日本お客さまセンター:0570-024-024

NEXCO中日本お客様センター:0120-922-229

NEXCO西日本お客様センター:0120-924-863

首都高速道路・緊急時の通報・道路緊急ダイヤル:#9910

阪神高速道路お客さまセンター:06-6576-1484

本州四国連絡高速道路:078-291-1033

 

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