2022年12月1日以降、一部のETC車載器が使用できなくなります。
国土交通省、ITSサービス高度化機構、高速道路会社6社が連名で、「一部のETC車載器が2022年12月1日以降使用できなくなる」と発表したのです。
さらに今後、2030年までにはより多くの機種が使用不可となるとのこと。
この事実を知らずにETCレーンに進入すればゲートは当然開きませんし、急ブレーキを踏めば後続車に追突されて大事故にもつながります。
今回は来たる日に備えて、お使いのETC車載器が2022年12月1日以降も使用可能なものか判別する方法をご案内します。まだまだ日はありますが、しっかり読んで準備をしておきましょう。
目次
世界無線会議(WRC)において通信規則が改正
2022年12月1日以降、ETC車載器が使えなくなる機種が発生するキッカケとなったのが、世界無線会議(WRC)。同会議において、無線通信規則(RR:Radio Regulation)が改正されたのです。
ETC車載器は無線通信を利用して通行車両の料金の収受を行うシステムで、料金体系は異なるものの、世界中で同様の料金収受システムが構築されています。
実はこのETC車載器、「スプリアス」という不必要な電波を発信しているのです。スプリアスは電波障害の原因となるため、法令により発射強度の許容値が規定されています。
2022年12月1日以降、使用不可となるETC車載器は、「2007(平成19)年以前の技術基準適合証明・工事設計認証(旧スプリアス認証)を受け、製造されたETC車載器
旧規格で認証を受けた無線設備は2022年11月末まで利用できるとされており、いよいよその期限が近づいているのです。
旧スプリアス規格品を装着してのETC利用は電波法違反
それでは2022年12月以降に、旧規格品のETC車載器を装着したままETCレーンに進入した場合はどうなるのでしょうか?発表資料によると「安全に配慮した運用となるよう検討致します」とされています。つまり新規格品に付け替えないとゲートが開かないことを示しており、何かしらの対策を模索している最中である、と読み取ることができます。
また、2022年12月以降も旧規格品を取り付けたままで、電源と接続し電波を発することができる状態であれば電波法違反に抵触するようです。
しかし総務省は以下のようなことも発表しています
現在お使いの旧スプリアス規格の無線機器を平成34年12月1日以降も継続してご使用になる場合は、スプリアス発射及び不要発射の強度確認届出書の提出が必要です。 |
つまり、旧規格とされているETC車載器でも、発射の強度などを再測定し、新規格への適合が再認証されれば使用できる可能性もあるということです。
お使いのETCが新規格に対応しているか判別する方法は
メーカーホームページから判別
2007(平成19)年以前のETC車載器については、車載器本体の外観や車載器管理番号(車載器ごとにメーカーから付番された19桁の識別番号のこと)からは判別できません。個別にメーカーへ問い合わせる必要があります。
いまお使いのETC車載器が新旧規格品、どちらに該当するかどうかは、ETC車載器メーカーのホームページで照合してみましょう。商品の型式ごとにスプリアス規格の新旧対応を掲載しています。
【ETC車載器の代表的なメーカー】
パナソニック:https://panasonic.jp/car/its/products/ETC/etcregist.html
三菱電機:当社の全てのETC/ETC2.0車載器は新スプリアス規格に対応しており、2022年12月1日以降も安心してご使用いただけます。
古野電気:https://www.furuno.com/jp/etc/model/
デンソー:ご使用できなくなるデンソー製ETC車載器は以下の通り
- 型式 DIU-3102(型式登録番号 0209 / 2001年4月~2004年4月製造品)
- 型式 DIU-3104(型式登録番号 0211 / 2001年6月製造品)
セットアップ申込書から判別
車載器管理番号はETCを取り付けてもらったお店から「ETC車載器セットアップ申込書」というA4サイズの用紙を受け取っているはずです。19桁の番号が記載されており、これが車載器管理番号にあたります。
「1」から始まっている→新規格対応
「0」から始まっている→旧規格 |
セットアップ申込書の控えがない方は、ETC車載器の取扱い説明書に車載器管理番号が書かれたシールが貼ってある場合もあります。取扱い説明書も無い方は、ETCセットアップをしてもらった販売店に問い合わせましょう。
ETC車載器の本体裏面から判別する
ETC車載器本体から車載器管理番号を確認する方法もあります。車のダッシュボード付近に両面テープで車載器が貼り付けられていれば力強く剥がしてみて下さい。すると車載器裏面に管理番号が書かれたシールが貼ってあります。
なお、一度両面テープを剥がしてしまうと粘着力が弱まりますので、再度貼り付ける際は剥がれ落ちないように注意して下さい。
識別マークから判別する
おそらくほどんどの方が気にも止めたことがないと思いますが、実はETC車載器には規格に応じたマークが描かれています。
画像引用:ITSサービス高度化機構
- カード挿入口付近に「●●●」のマークが印字されている
- ETC2.0車載器であれば、「ETC2.0」のロゴがある
- かつ挿入口付近に「■」のマークが印字ない
旧セキュリティ商品の判別ポイント
- 「DSRC」文字が記載されている。「DSRC」とはETC2.0がまだ世に出る前のサービス名のこと。このロゴが記載されたものは旧規格品となります。
- 「ETC2.0」のロゴが描かれているが、「■」のマークが印字されている
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は「ETC車載器2022年問題」ということでお送りしてきました。
- ETCは「スプリアス」という不必要な電波を発信している
- スプリアスは今後電波法に抵触してしまう
- だから旧規格品を使っていれば、2022年12月1日までに新規格に対応した車載器に付け替えが必要
いまやETC車載器の装着率は90%以上にも登ります。ということは車を所有しているほとんどの人が「ETC車載器2022年問題」が他人事ではないということです。旧規格品が使用不能になる日はまだまだ先の話ではありますが、早め早めに準備しておくことで困ることはないと思います。
是非この機会にお使いのETC車載器をチェックしてみてはいかがでしょうか。