現在新車を購入予定の方、または最近新車に買い替えた方、カーナビゲーション(以下カーナビ)は装着しましたか?今では2/3以上の人が新車の購入時に純正品や社外品のカーナビを同時に購入していると言われています。
ディーラーに新車の見積もりをもらいに行くと、セールススタッフが一発目に出す見積もりには当たり前のようにカーナビが含まれています。それほど新車とカーナビをセットで購入することは自然の流れになっています。
カーナビ市場の最近のトレンドは「大画面化」。大きくて見やすいディスプレイは、ナビゲーションの案内が見やすく、TVやDVDの視聴も大迫力。しかし画面が大きくなるに伴って、価格もかつて無いほど高価になっているのです。今回は自動車販売店で勤務経験がある筆者が「大画面化するカーナビブーム」に警鐘を鳴らします。
目次
大画面のカーナビを買うと高すぎて破産してしまう
カーナビの大画面化が本格的に始まったのは2014年から。今では国内の自動車メーカー、カーナビ・カーオーディオのメーカー各社が大画面のカーナビを取り扱っています。日産自動車は9インチナビ、トヨタ自動車はT-connect 10インチナビを、カーナビ・カーオーディオ専門メーカーALPINEは、11インチのビッグX 11シリーズを販売しています。ALPINEの11インチのカーナビを用品店で実際に見てみると、後ろに2,3歩下がらないと画面と視点が合わない程巨大です。さらに液晶が高性能で、大画面でありながら運転席側、助手席側のどちらから画面を見ても美しい映像が楽しめるようになっています。
大画面のカーナビは恐ろしく高価
しかし本当に驚くべきはその価格です。トヨタ T-connect 10インチナビ(アルファード・ヴェルファイア専用)は¥287,280(消費税抜き)、ALPINE EX11V-AL-Bは実勢店頭価格で20数万円程。しかもそれぞれの価格には取付け工賃が含まれていませんので、別途2万円前後が本体価格にプラスで必要です。
またカーナビだけを単体で購入する人は非常に稀で、カーナビに連動するバックモニターやドライブレコーダー、後席でTVやDVDが視聴できるモニターもセットで購入します。
ちなみに上記のトヨタの10インチナビ(アルファード専用)に工賃込で約30万円、日産セレナの[9インチナビ・11インチの後席モニター・ETC]の3点がセットになった「9インチナビ・ツインモニタースペシャルパック」は388,000円(税込み)。う~ん高い。
ちなみに筆者は庶民の上に小市民ですから、カーナビ一個30万円と聞いて、「中古の日産マーチ、またはスターレットが一台買えるじゃないか?!」と考えてしまいました。
カーナビの大画面化進んだキッカケはALPINE
車にカーオーディオ・カーナビを装着するスペースに「1DINまたは2DIN」というサイズ企画があります。
Deutsch Industrie Normが正式名称でDINがその略です。読み方は、『ディン』。
世界中の自動車メーカーがこの規格を採用しています。
■1DIN 縦50mmx横178mm
■2DIN 縦100mmx横178mm
現在の市販のカーナビはこの2DINサイズに収まるように設計されており、対応するのは7インチまでが限界でした。その常識を打ち破ったのが、最初にも紹介したカーオーディオ・ナビゲーション専門メーカーのALPINE。
カーナビ周りのパネルまで車種専用設計することで、 車種別専用の8インチの大画面を組み込むことに成功しました。「地図画面が見やすい!地デジやDVD映像も画面が大きくて迫力がある! 」ユーザーの評判はあっという間に広がり、納品待ちが出るほどの人気となりました。これがカーナビの大画面化に火を付けたキッカケです。その後は画面のサイズが9型、10型とさらに大型化に成功し、自動車メーカー各社もALPINEに追随するように純正カーナビに大画面ナビをラインアップに加えるようになりました。
もうナビゲーションなんて買わなくてもいい
カーナビが大画面化、高価格していく一方で、「もうカーナビって要らなくね?」という若年層が増えています。実はコレが正解なんです。
このように考える彼らはカーナビの替わりにスマートフォン(以下スマホ)を使っています。
「知らない場所まで道案内をしてくれる」というナビゲーション本来の機能は、スマホの地図アプリに取って代わられています。
またカーナビは新しい高速道路が開通すると、地図を書き換えるためには「地図データの更新作業」が必要になります。ディーラーで購入したカーナビは販売店にて更新依頼を、市販のカーナビは自分でパソコンを使って最新のデータを取り込まなければなりません。しかしスマホの地図データは常に最新のデータが自動的に取り込まれるので、わざわざ地図データを更新する煩わしさがありません。
「スマホは画面が小さいから見えにくくないか?」という懸念もありますが、スマホも大画面化が進んでいます。最新のiphone Xの画面サイズは5.8インチもあるので、これを運転席のダッシュボードに固定すればもう立派なカーナビに早変わり。
「スマホの音声案内だと音量が小さくて聞こえないぞ」という不安はBlutooth機能が解消してくれます。
後に解説しますが、近年ナビゲーション機能がついていない高機能多機能オーディオが注目を集めています。このオーディオとスマホをBluetoothで接続すれば車のスピーカーから大音量でナビゲーションの音声案内を聞き取ることが可能になります。
・そもそも知らない場所へナビ機能を頼って行く機会が年に何回ありますか?
人にもよりますが、初めての場所へナビを頼って行く機会は、年末年始とゴールデンウィーク、お盆休み等の大型連休+αくらいではないでしょうか?
年に数回の外出のために30万円もの大金をカーナビに注ぎ込むは勿体無い気がしてなりません。
・ナビ機能よりも、TVやDVD、ブルーレイを視聴することが目的
「実際ナビは要らないんだけど、TVやDVDが観たいから」という理由でカーナビを購入する人は非常に多いです。
そのような方にこれから説明する「大画面カーオーディオ」をお勧めします。
これからは大画面カーオーディオの時代
セイワのマルチメディアオーディオで全てオッケー
2017年に自動車用品の企画・製造・販売するセイワが10型ディスプレイを2DINサイズに設置できる車載用マルチメディアオーディオ「PMA100FZ」 を発売しました。
10インチの大画面でスマートフォンの映像や音楽、テレビやDVDなどが楽しめるマルチメディアオーディオ
本体部は2DINサイズのため、大画面のディスプレイを装着できなかった車種でも利用できます。これまでの大画面カーナビの多くは、車種専用設計でしたので、この点はとってもありがたいですよね。
その他の機能も盛り沢山なのでご紹介します。
- 大画面でミラーリングが可能
スマートフォンとUSB接続することで、スマートフォンのナビアプリなどを大画面で映し出すことができる「Easy Phone Link」機能を搭載。Android端末接続時は、PMA100FZをタッチしてスマホ側を操作できる。※iPhone接続時はPMA100FZではなくiPhone側での操作。なお、スマホをHDMI接続するためのMHL対応アダプタは付属しない。
- 地デジが視聴可能
テレビチューナを内蔵し、フルセグ/ワンセグの自動切り換えに対応。チューナ2基とアンテナ2基の2×2合成ダイバーシティ方式で受信性能を高めている。
- DVD再生対応
画面が巨大なので助手席だけでなく後部座席からでも映像を楽しめる。後部座席からも操作できるリモコンが付属する。
- ラジオはワイドFMに対応
ワイドFMとは簡単に言うと、「AMラジオをFMラジオのような高音質で視聴可能」な機能です。
AM放送局の放送区域において、災害や電波障害に強いFMの周波数を使い、AMラジオの番組を放送します。 AM放送が聴き取りにくい地域でもFM放送でAMラジオの番組を聴くことができます。 またFMラジオは雑音にも強く、緊急のときにもラジオからの情報を聴き取りやすいメリットがあります。
- Bluetooth内蔵
対応スマホやオーディオ機器を接続して音楽や通話をワイヤレスで行なえる。USBメモリやmicroSDカード内の音楽/動画/写真再生にも対応。
- 音楽録音
CDの曲をUSBメモリに録音することも可能。
- 細かな音質調整
14パターンのイコライザや7パターンのDSPを搭載。サブウーファ出力にも対応する。大型画面でタッチ操作しやすく、見やすいユニバーサルフォントも採用したことで視認性を向上させている。
- 車両の純正ステアリングリモコンとも連動可能
ここ数年前から国産の軽自動車やコンパクトカーでも、手元のハンドルスイッチで音量やチャンネル操作ができる車種が増えてきています。PMA100FZはハンドルスイッチにも対応しています※全ての車種には対応しておりません
- バックカメラ/フロントカメラやドライブレコーダの専用端子を装備
- 色を変更可能なイルミネーションを備え、車のイルミライトに連動してON/OFFできる
実勢価格は大画面ナビの1/4
さらに驚くべき点は価格です。これだけの機能がついて実勢価格は約65,000円。
ナビゲーション機能はついていませんが、道案内はスマホがあれば事が足りますよね。
TVもDVDも観れる、音楽録音だってできるしBluetooth機能まで付いています。これだけ機能が豊富であればお腹いっぱい大満足です。工賃は別途必要ですが、それでも10万円で十分お釣りがくるほど低価格です。
メーカー純正品やALPINEの大画面カーナビも魅力的ですが、ナビゲーション機能をあまり必要としていない方には、このセイワのマルチメディアオーディオは本当にお勧めですよ。
まとめ:モノ(商品)よりコト(経験)を
- ナビゲーションの大画面化が流行り
- 大画面化に伴って価格も高騰
- 高いもので30万円を超えるモノも
- ナビゲーションの機能は年に数回しか使わない
- でもTV・DVDは観たい
- 音楽録音機能も欲しい
- さらに欲を言えば画面は大きい方がいい
- だったらセイワのPMA100FZはお勧め
- 金額は10万円で十分お釣りがくるほど安価
いかがでしたでしょうか?
今回は「ナビ機能だけはスマホにお願いをして、その他のAV機能は全て満たしてくれるPMA100FZのようなマルチメディアオーディオを購入すれば、わざわざ30万円もする大画面ナビを買う必要はないよね?」という記事でした。
クルマの価格は15年間で数十万円も高くなっている
車種にもよりますが、自動ブレーキや誤発進防止装置などの様々な安全装置が標準装備になったことやカーナビの画面が大型化・高機能化していることなどを背景に、新車購入時の総額が10年前と比較して相対的に数十万円ほど高くなっているような感覚がします。ヴィッツ、フィット、ノートなどのコンパクトカーで50万円程、ノア・ボクシー、ステップワゴン、セレナなどのミニバンで80万円程。
クルマの価格の上昇率に年収が追いついていない
人の命は数十万円では買えませんので、多少の金額アップで死亡事故が減少すれば喜ばれるべきことです。それでは中小企業のサラリーマンの年収(可処分所得)も同じように数十万円も増えたでしょうか。私はここでは、中小企業のサラリーマンの年収が伸び悩んでいることを言いたいわけではございません。
「身の丈にあったクルマ選びをしましょう」ということです。クルマやカーナビの価格の上昇率に、私たちの年収に(可処分所得)が追いついていないのです。
情報に惑わされて新車を買っても苦しいだけ
実際にこのような例がありました。
ご主人様の年齢は30代前半、少し見栄っ張りで新しいモノ好き。家族は年下の奥様と小さいお子様が3人。年収は約320万円で総額380万円のミニバンを買おうとする。新車はスポーツグレードで、カーナビは大して使わないが子供に後席でDVDを楽しんでもらいたいと、大画面カーナビと後席モニターをセットでチョイス。頭金がないので全額ローンで申し込み。審査が通らなかったのでパートタイマーの母親を連帯保証人に付けてなんとか審査を通過。せっかく買った新車だから、これから家族でドライブへ行って楽しい思い出を沢山作れるね、と楽しみにしていたのも束の間。月々のローンの返済額や任意保険料が家計を圧迫しすぎて、遊びに行くだけの余裕がないのです。その結果新車のミニバンは近所の買い物程度でしか使われなかった。これって悲しくないですか。
本来の豊かさとは
お金に余裕があればどんな高級車も買っていい、沢山オプションを装着してもいいと思います。しかし年収が低く今後も上がる見込がないのなら、無理して新車や高いカーナビを買ってはいけません。本来は新車を買う予定であったが中古車を買った、高いカーナビを買う予定であったがマルチメディアカーオーディオにした、そうして浮いたお金は家族や友人とドライブへ行き美味しいものを食べる、そうした物質的なモノ(商品)より、コト(経験)にお金をまわしていく方が、より豊かな暮らしを手に入れることができるのではないでしょうか。
別に中古車でもいいじゃないですか、ナビは無いけど音楽が聴ければいいじゃないですか。決して何もかも我慢して安く安く抑えろ、と言っているわけではありません。車のドレスアップが生きがいであればお金をつぎ込んでもいいと思います。
しかし情報に惑わされて、お金に余裕がないのに「何となく新車」「何となくナビ」を買うのは危険です。モノを所有して満足する時代はとっくに終わっています。これからはコト(経験)を積み重ねていきましょう。コト(経験)は私たちの人生をより豊かなものへと変えてくれます。
最後になりますがオマケとして、後席モニターを購入予定の方にお勧めの商品をご案内します。
おまけ:スマホ画面も映せる10.1型車載HDMI液晶モニター
パイオニアは、運転席などのヘッドレストに装着し、後部座席で映像を楽しめるプライベートモニター2製品を6月より発売しました。価格はいずれもオープンプライス。実勢価格は、10.1型液晶の「TVM-PW1000」が50,000円前後、9型液晶の「TVM-PW910」が30,000円前後。
車の天井に貼りつけるフリップダウンモニターの相場は10万円前後ですから、10.1型で5万円前後、9型で3万円前後で購入が可能であればかなり安いです。ピシャっと天井には貼り付けることはできませんが、これも考え方です。取付けの見栄えさえ気にしなければ、後席で映像を楽しむという目的は果たせますので必要十分ではないでしょうか?浮いたお金はコト(経験)にまわしましょう。