前回の記事をアップしたところ、多く方から反響をいただきました。
- 「新車が高くなったとは感じていたが、こんなに高額化していたのか」
- 「手取りが毎年変わらないのは薄々感じてはいたけど、実質減少していたとはショック」
- 「別に新車じゃなくてもいいじゃん」
など。このように「我々サラリーマンの手取りが年々減少する中、新車を購入することがいかに高い買い物なのか」分かってもらえたようです。しかしお伝えしたいことはまだまだあります。
今回は、多くの人が新車の見積もりで選んでしまいがちな、
- スポーツグレード
- ボディコーティング
この2点に絞って解説していきます。結論から申し上げますが、これらはハッキリ言って必要ありません。「見た目がカッコイイからスポーツグレード」、「せっかくの新車だからコーティングも」このよう理由で安易に見積もりに入れてはいけません。これら2点のオプションを選ぶだけで見積もり額はすぐに跳ね上がります。
削っても問題がないことを説明しますので、賛同してもらえれば躊躇なく見積もりから削除しましょう。
目次
スポーティ感は本当に必要か
時代の潮流でしょう、車のデザインは年々奇抜さを増し、それに伴いホイールのサイズも年々大径化が進んでいます。
国産4WDで19インチ、セダンで20インチは当たり前。ウィンカーを点灯させればLED球が流れる演出。これだけ外観をオシャレに着飾れば、車両価格にその分はキッチリと反映されてしまいます。
車のグレードには大抵、外観が大人しい標準グレードと、アルミホイールやエアロパーツ(バンパーの先に尖ったパーツを一枚被せること。若い世代は見た目がカッコイイと感じる人が多い)が装着されたスポーツグレードの2種類が設定されています。
標準グレード:スポーツグレード、どちらを選択する割合が多いかと言うと、感覚的には軽自動車なら5:5。ミニバンでは3:7で、圧倒的にスポーツグレードを選択する人の割合が圧倒的に多いように感じます。
参考見積書では、「ハイウェイスター」と明記されています。これがセレナのスポーツグレードにあたります。
バンパーが尖るだけで20万アップ
さて、そんな人気のスポーツグレードは標準グレードと比較して、車両本体価格が、軽自動車で10数万円、ミニバンなら25万前後高く設定されています。スポーツグレードは標準グレードよりも走りが安定するのか、と言われるとそんなことはありません。見た目が違うだけです。
「アルミホイールやエアロパーツを付けた車のほうが車重が軽く、空力性能も・・・」という意見もあるでしょうが、サーキットで高速で走り比べない限り、公道ではその違いなんて全く分かりません。
見た目が違うだけで何十万円も高くなるなら、前回の記事「便利なオプション」にお金を回した方がよほど合理的です。少しの自己満足・見栄に何十万円もつぎ込むのはお勧めできません。ただでさえ車の本体価格が高騰しています。よほどお金に余裕がある場合を除き、標準グレードを選択する方が賢明と言えるでしょう。
ボディコーティングは新車に必要か
参考見積書の右上、付属品明細欄の中に「5years coat」¥71,280と明記されているのが確認できますでしょうか。
これはボディコーディングです。謳い文句は「いつまでも新車の輝きを」
愛車はいつまでもキラキラと輝いて、雨が降っても水滴となり流れ落ちてほしい、そう願うものですが、7万円はかなり高いと感じませんか?
新車時の輝きを5年間持続できる人の割合
実はこの7万円の内訳をバラしてしまいますが、ほとんどが工賃、人件費です。実際コーティングに使われる液剤の価格は約1万円、これにお手入れキット(シャンプー、クリーナー、スポンジが梱包)がプラスされて約5千円程。つまり価格の8割が作業工賃なのです。
日本人は車を大事にする人柄なのでしょう、5割強の人がこのボディコートを新車購入時に施工しています。それほどコーティングの効果は素晴らしいものなのでしょうか。筆者は自動車販売店に在職していた時にコーティングメーカーが主宰する勉強会に参加したことがあります。
「当社の液剤はなんちゃら言う成分が含まれており、ボディに何重構造を施し、紫外線や酸性雨から愛車を保護し・・・」その説明を聞くと、商品の効果がどれだけ優れているのかは理解できました。
しかしこのボディーコート、絶対にしなくていいです。なぜかと言うと、コーティングの施工効果や施工直後のボディの状態は素晴らしいのですが、その状態を持続させるためのハードルが多すぎるし高すぎるのです。
日産の5yeas coatの注意書きを見てみると、新車時の輝きを5年間持続させるため「約束事」がいくつか明記されています。「これら約束事をキッチリ守ってもらわないと5年間の輝きは保証しませんよ」というのです。
その約束事をいくつか抜粋して紹介します。
- 洗車した後は、早めに水分を拭き取りましょう
水分は早めに拭き取らないとボディに水滴が焼き付いてしまいます。特に夏の暑い時期は水滴が乾くまでの時間が短いためなおさら早めに拭き取らなければなりません。しかし「雨が降ったらすぐに車まで走って行き雨水を拭き取れ」というのは無理な話ではないですか? - 普段のお手入れはメンテナンスシャンプーを使いましょう
洗車を頻繁にしなくても新車の輝きが持続することがコーティングの売りかと思ったら、「定期的な洗車」をしろ、というのです。「定期的」の頻度はなんと週に1度。しかしこれが輝きを持続させるためのお約束事と言うのですから仕方がありません。コーティングをしたからと言って、洗車が不要になるわけではないのです。 - 汚れが落ちにくい時はメンテナンスクリーナーを使いましょう
付属に小さいボトルが梱包されており、これがメンテナンスクリーナー。ボディが汚れたらこのクリーナーを使ってこまめに汚れを落としてくださいね、さらに月に一度はこれをボディ全体にかけて拭き上げて下さいね、と言うのです。これでは自分でワックスをかけるのと労力は変わらないじゃないですか。自分でワックスをかけるのが面倒臭いからコーティングをするのに。 - 年に一度はディーラーに車を持って行って、ボディの状態が良いかチェックしてもらいましょう
意外に知られていませんが、このようなお約束事もあるのです。こんなことは営業マンもいちいちお客様には説明しませんし、例えお願いしたとしても、コーディングの状態をチェックしてもらうために休日にわざわざディーラーに車を持ってくる人なんていませんよ。
このように、新車の輝きを持続させるためのハードルが多すぎるし、かつそのハードルの高さも高すぎるのです。お金も時間もたっぷりある引退後の方で、洗車が趣味な人ならコーティングをしてもいいと思いますが、今回の記事のターゲットは若い独身・子育て世代。働き盛りのサラリーマンが平日夜遅くに帰ってきて、たまの休日は、デートや家族との時間も楽しみたいのに「約束事」を守るために早起きをして、シャンプーをかけて拭きあげなければならない、ここまでできる人がいったいどれだけいるのでしょうか。
当然ほとんどの人がお約束事が守れないので、輝きはすぐに失われ、水はじきが良いのも最初の数週間だけ。7万円はドブに捨てることになるのです。
後ほど説明しますが、残価設定型ローンを組んで車を購入予定の方、絶対にコーティングはしなくてもいいです。3年後4年後5年後に車を返却するつもりで車を買っているのに、コーティングをする意味はないでしょう。
以上の理由から、制約が多すぎるボティコーティングは見積もりから迷うことなく削って下さい。
まとめ
今回は見積もりが高額化してしまう代表的なオプションとして
- スポーツグレード
- ボディコーティング
について、これらがいかに無用なものであるかを解説してきました。
オプションを選ぶ際の優先順位がありましたね
- 安全>便利>自己満足
限りある予算の中で、安全なオプションから優先的に選んでいきながら、余剰資金があればスポーツグレードにするなり、ボディコーティングを付けるようにしましょう。